中古マンションのしくみ
裏書には,振出と同様,必要的記載事項(前頁参照)のほか,有益的記載事項,無益的記載事項,そして有害的記載事項がある。
(a)有益的記載事項これには,@無担保文句・裏書禁止文句(手15条),A取立委任文句(手18条),B質入文句(手19条),C裏書の日付(手20条2項),D裏書人の住所,E拒絶証書作成免除文句(手46条1項)などがある。
裏書の日付や裏書人の住所は,記載するのが慣例となっている。
裏書の日付は,この日に裏書がなされたとの推定を生じさせ,その裏書が期限後裏書(手77条1項1号=20条1項但書)か否かを判断する資料となる。
また裏書人の住所は,裏書人の同一性を判断する資料となるほか,遡求の通知を受ける宛所となる(手77条1項4号=45条3項)。
(b)無益的記載事項裏書に条件を付けてはならない(手77条1項1号=12条1項前段)。
これは裏書の効力を不確実なものにし,裏書の単純性に反するので,条件は記載がないものとみなされる(同項後段)。
(c)有害的記載事項手形金額の一部につき譲渡裏書を認めると,手形の単一性を害することになるので,一部裏書は無効とされる(手77条1項1号=12条2項)。
(a)権利移転的効力裏書によって手形上の一切の権利が被裏書人に移転する(手77条1項1号=14条1項)。
これを裏書の「権利移転的効力」という。
したがって,被裏書人は,振出人に対する手形金請求権はもとより,手形保証人に対する権利,そして裏書人の前者に対する遡求権などすべての権利を取得する。
この効力は,裏書人の意思表示に基づくものであり,裏書の本質的効力である。
手形債権に付随する質権・抵当権・民法上の保証債権など担保権が,裏書によって被裏書人に移転するか。
通説・判例(大判大13.5.15商判集841)は裏書によって当然には移転しないとしていた。
近時は,担保権の移転を認めても手形の流通を害することはなく,かえって有益であること,またそれは当事者の意思にも合致することなどの理由から,反対の合意がない限り,担保権の随伴性により,被裏書人に移転するとの見解が有力である。
判例も有力説の見解を認めるに至っている(最判昭45.4.21民集24.4.283)。
(b)担保的効力裏書人は,被裏書人およびその後に手形を取得したすべての者に対して手形の支払を担保する責任を負う(手77条1項1号=15条1項)。
すなわち,適法な支払呈示にもかかわらず振出人が手形の支払をしないときは,裏書人はそれに代わって支払をしなければならない。
これを裏書の「担保的効力」といい,裏書人のこの義務を「遡求義務」(または「償還義務」)という。
この責任は,裏書人の意思表示に基づくものであるとする説もあるが,現在の通説は,手形の流通を助長するため法が特に定めた特別の責任(法定担保責任)であると解している。
もっとも,裏書人は担保的効力を排除することができる。
担保的効力は裏書の本質的効力ではないので,裏書人が支払を担保しない旨(無担保文句)を記載すれば,遡求義務を免れる(手77条1項1号=15条1項)。
この裏書を無担保裏書という。
さらに,裏書人は裏書に際し以後の裏書を禁ずることができ,その旨(裏書禁止文句または禁転文句)を記載すると,直接の被裏書人には遡求義務を負うが,以後の被裏書人・所持人には遡求義務を負わない。
この裏書を裏書禁止裏書(禁転裏書)という(手77条1項1号=15条2項)。
なお,無担保裏書や裏書禁止裏書があっても,手形は裏書によって譲渡することができ,裏書による善意者の保護もあり,他の裏書人は担保責任を負う。
(c)資格授与的効力裏書の権利移転的効力により手形上の権利は裏書人から被裏書人に移転する。
手形法16条1項は,手形面上に裏書の記載があり,手形の占有者(所持人)が裏書の連続によりその権利を証明するときは,これを適法の所持人とみなす旨を定めている。
ここにいう「みなす」とは,一般に権利者と推定するという意味である(通説・判例)。
このように,裏書の連続する手形を所持する者が手形上の権利者と推定されることを,裏書の「資格授与的効力」という。
裏書の連続を欠く手形の所持人には,資格授与的効力が生じないが,その実質的権利を証明すれば,手形上の権利を行使することができる(最判昭31.2.7民集10.2.27)。
(a)意義裏書の連続とは,手形面上に,受取人(A)が第1の裏書人(A)となって第1の被裏書人(B)に,この者が第2の裏書人(B)となって第2の被裏書人(C)に,というように受取人から最後の被裏書人まで各裏書が間断なく続いていることをいう。
中間または最後に白地式裏書があってもよい(手77条1項1号=16条1項2文・4文)。
(b)裏書の連続の判断裏書の連続の有無は,手形上の記載に基づいて形式的に判断される。
よって,裏書の連続の中に実質的に無効な裏書が介在していても,外形的に連続していれば裏書の連続は認められる。
逆に,同一人物であっても裏書人としての名称と被裏書人としての名称が異なっていた場合(別名を用いた場合)のように,実質的には連続していても外形的には不連続となる。
ただし,被裏書人(受取人)と次の裏書人の記載が一字一句同一である必要はなく,社会通念上同一人と認められる程度のものであれば足りる。
しかし,被裏書人の記載が法人か個人か不明なときは厄介である。
(c)会社の場合たとえば,被裏書人の記載がB会社C,またはB商店C,そして次の裏書署名がCであるとき,裏書の連続はあるだろうか。これに関する判例は多数あるが,現在の判例(最判昭30.9.30民集9.10.1513)は,受取人B会社C支店長,裏書人Cの記載につき,個人の氏名に職名をつけてその個人を表すことは取引界でよく行われていることであるという事実認定のもとに,受取人の記載と第1裏書欄の記載とを対照して,B会社C支店長という記載は,他に特別な事情のない限り,個人であるCを指すものと解するのが妥当であるとして,裏書の連続を認めている。
(d)民事承継の場合合併・相続・指名債権譲渡の方法などによる取得があった場合,その旨が手形上に記載されても,裏書の連続はない(通説)。
(e)裏書の抹消の場合裏書の抹消は,裏書の連続の有無を判断する場合には,抹消された裏書は記載がないものとみなされる(手77条1項1号=16条1項3文)。したがって,裏書の連続に関しては,抹消された裏書は書かれていないものとして,その前後の裏書が続いているかを判断すればよい。
しかし,記名式裏書の被裏書人の氏名だけを抹消した場合,裏書の連続を判断する上で見解が分かれている。
すなわち,その抹消は裏書全部の抹消と見る見解と,白地式裏書と見る見解とが対立している。
裏書の連続の有無の判断は手形の記載に基づき判断すべきものであるから,抹消された被裏書人の記載はないものと見るのが自然であり,手形の流通保護を重視すべきであるから白地式裏書と見る見解が妥当である(最判昭61.7.18民集40.5.977)。
手形は有価証券としての強い流通性を持つ。
手形の流通を促進するためには,手形の流通過程における手形取得者の保護が必要である。
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